『旅なら型にハマらず自由にやるべきだ。』
という僕らのモットーのもと、マラケシュからワルザザード行きのバスに乗っていた僕らは突然の思いつきで、「タザントゥット」という「ワルザザード」から20㎞も手前の何もない街で途中下車した・・・
バスの運転手も『はあっ?頭でもいかれたか?』となんともバカなアイデアに呆れていた。
しかし『なぜそんな何もない場所で途中下車を??』と不思議に思うだろうが、僕らには一つの目的があった。
それは【アイット・ベン・ハドゥの集落】まで約11㎞、モロッコの乾いた大地を、その大きさを、肌で感じてみたかったのだ。
ということで文字通り靴を脱ぎ捨て素足で歩くことにした。
By Mohamed belarhzali [CC BY-SA 3.0 ], from Wikimedia Commons
ワルザザードは、映画「ハムナプトラ」や「グラディエーター」が撮影された【アトラス・スタジオ】で有名だが、冒険好きな僕らは誰も関心を示さなかった(笑)
それならば、あえてワルザザードまで行って別のバスやタクシーに乗り戻り路をする必要もあるまい。ということで満場一致、【アイット・ベン・ハドゥの集落】を目指して歌でも歌いながら歩こう!という話になったのだ。
全員が靴を脱ぎ裸足でただひたすらアイット・ベン・ハドゥを夢見て、話したり歌ったり、時にはしりとりをしたりして真っ赤な乾燥した大地をただただ歩いた。
時々立ち止まっては景色を楽しんだり、ふざけたり、休憩したりして、実際にアイット・ベン・ハドゥに到着したのは深夜2時頃だったと思う。
ホテルの予約すらしていなかったので、最悪の場合は野宿すればいいだろうと気楽なもんだった。
ただ夜中の気温は10度前後まで落ち込んでいたので少し肌寒く、出来れば宿を見つけ何も食べていなかったので食事を取りたかった。
街灯もろくにない静かな町だが、夜更けもいい時間にホテルのドアを何件か叩いてまわった。
運のいいことに、3件目あたりでホテルの店主が眠そうな顔をしてドアを開けてくれたので事情を話し、チェックインをすることに成功。
無事にその日のベッドと食事を確保できたのだった。
【定番のタジン鍋】
アイット・ベン・ハドゥ素足の旅
宿泊させてもらった恩ある宿【La Kasbah du Jardin】
La Kasbah du Jardin
夜中に到着したので、ベッドさえあればいいと思っていましたが、翌朝起きてみると、建物裏側にはなんと素敵なプール!
目を覚ますとシャワー代わりにプールへジャンプ!
気持ちよく泳いだ後は、最高なタイミングで朝食を出してくれますので、最高な一日のスタートを切ることが出来ます。
朝食後、ホテルのスタッフに裏庭に呼ばれ、ロバに乗せてもらいました。
背中に乗せてくれてありがとうね!
ホテルの外階段より屋上のデッキへあがれば、アイット・ベン・ハドゥの集落の景色が楽しめます。
そういえば、このアイット・ベン・ハドゥは映画『ハムナプトラ』の舞台となった場所のようですよ。
訪れる際は事前に映画をチェックしておくと二倍楽しめるかもしれませんね。
それでは実際に、アイット・ベン・ハドゥの集落を訪れてみましょう!
アイット・ベン・ハドゥ集落を訪れる
ホテルやマーケットなどのある街エリアからは集落へは近いので歩いて行けます。
一本の橋を渡れば集落エリアに入ります。
山の片側にレンガと土で出来た家がたくさん立っています。
頂上へはらせん状に描かれている道や階段を使って10分~15分ほど上ることで行くことが出来ます。
頂上から見られるアイット・ベン・ハドゥの街の様子です。
建物と自然のコントラストがいいですよね。
モロッコのグランドキャニオンと呼ぶにふさわしい場所ではないでしょうか。
集落の一部には、簡易なカフェレストランもあって、ご希望であればラーメンなんかも何気にあります。どこの国へ行っても麺だけは外せないんですね(笑)
アイット・ベン・ハドゥの歴史
この地ではかつてベルベル族間同士抗争が絶えなかったようです。
そこで有力部族であったハドゥ氏が、盗賊などからの略奪から身を守るために、カスバ(城塞・砦)を建造します。
アイット・ベン・ハドゥの集落は、城塞兼居住地区となっており、建物はレンガを用いてとても分厚く頑丈で、また40度を超える高熱の気候でもしのげるように出来ているそうです。
またアイット・ベン・ハドゥの集落への入口は1つしかありません。
道も地図で示すには難しいほど複雑なつくりをしていますが、これは敵の侵入を考察してとのことです。
そして頂上部には食糧庫があり、塔の壁からは銃眼が設けられており、敵を銃撃することができるようになっています。
最後に
素足になりタザントゥットからアイット・ベン・ハドゥまで月夜の下を歩いたのは、印象的な旅の思い出です。
あなたがいつか挑戦する道は、やがて旅人や観光客が訪れる観光ルートになるかもしれない。
少し偏った記事になってしまったようにも思いますが、旅人心を少しでも射止められたなら嬉しく思います。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。